
認知症の始まりつつあるお年寄りの家に行ったとき、「私、ウクレレ始めたんです。でも五線譜が苦手なんですよね」と言ったら、オルガニストでもあるその人は、すっと手を出して言いました。
「ミ(親指)、ソ(人差し指)、シ(中指)、レ(薬指)、ファ(小指)」
「ファ(親指と人差し指の間の溝)、ラ(人差し指と中指の間)、ド(中指と薬指の間)、ミ(薬指と小指の間)」
つまり、5本指を五線譜に見立てて覚えるんだよ!ということでした。
その瞬間、その人の声の力強さに、キラッと命が輝くのを感じました。
覚えた?言ってみて!と言われ、恐る恐るリピートすると満足そうに聞いていました。
こういう時間、ちょっと泣けてしまいますね。命が輝いているから。